山川出版社『世界史用語集』のファンのブログです


by keiohachioji
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南ア戦争

【1985年版p.208】頻度数15
トランスヴァール・オレンジ両国に対するイギリスの帝国主義侵略戦争。ブール人はよく抵抗し、イギリスは予定の6週間が2年7ヶ月に、兵力は5万が45万に、戦費は2億2300万ポンドとなった。イギリスは残酷な戦闘を行って、少数で非力のブール人をついに屈服させた。(後略)
(引用終わり)

これも応援系の典型。この項目の筆者は、ブール人の抵抗を「よきもの」としている。
そして下線部以後は、その「よく」抵抗した成果として記述されている。

そしてもうひとつ着目したいのは「ついに」。物語っています。
わずか数行のうちに、物語のように文章が流れ、「ついに」でシメ。
流れがあります。リズムがあります。

そして、時は過ぎ…

【2008年版p.262】
…ブール人が激しく抵抗したため、イギリスは45万の兵力と、約2億2300万ポンドの戦費を投入し、焦土作戦を展開してようやく勝利した。…
(引用終わり)

完全にイギリス主体の記述に変わっているのでした。


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# by keiohachioji | 2016-07-01 00:04 | 用語集

マジ=マジ反乱

【1985年版p.208】頻度数1
ドイツ領東アフリカ(現タンザニア)で、綿花強制栽培反対を発端とした対独反乱。マジは水の意で、白人の力を弱める魔法の水を飲んで戦った。各個撃破され、鎮圧。
(引用終わり)

これは強烈に面白い。

この説明は、「魔法の水」が「事実として存在する」という前提の文になっている。
ツッコミを入れるとすれば、「アンタ(=用語説明を書いた人)、それが魔法の水って信じてるんか!」
ということになろうか。

例えば「井戸の」、「川の」、と同じように「魔法の」水を飲んだということになれば、井戸や川が実在するのと同じように、「魔法」も実在することになる。ここをサラッと、まるで事実のように、しかも注意深く読まないとそう感じないふうに書いているところが面白い。

いや、そう茶化すのも失礼かもしれない。これは、その水の力を信じ、戦った人の立場を尊重した記述ともいえる。鎮圧された人々に寄り添う、優しさに満ちた記述ともいえるのだ。そう、これぞ80年代の用語集。

ちなみにというか、残念ながらというか、こうした味のある記述はやがて改められることになる。

【2008年版p.263】
「マジ=マジの蜂起」…白人の力を弱めると信じられた「魔法の水」(マジ)を飲んで戦ったことからの呼称。

それでいいのだろうけど、何かちょっぴり物足りない感じがして、不思議である。
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# by keiohachioji | 2016-06-29 22:37 | 用語集